2020年08月19日

パートナーとの別れ『たとえば君 四十年の恋歌』河野裕子、永田和宏

日頃、皆さんは短歌を詠むだろうか。仕事で「昨日、いろいろあったから和歌を詠んでみたんですが」と上司にいってみても、なかなか受け取ってもらえない。心寄せる異性に「私の想いを歌に詠み込んだ。ダイレクトメッセージをみてくれ」といっても受け取る側も「分かったよ。返歌作るね♡」ということはほとんどなく、出来る人は、なかなかコアの人。短歌は受験、国語の勉強で高校でサヨナラというケースがほとんどでしょう。

その短歌をぐっと日常に引き戻した、いや日常にこそ、短歌があると思わせる本がある。これが『たとえば君 四十年の恋歌』(文春文庫)である。この本は、河野裕子、永田和宏の夫婦の共著になっている。と「なっている」というちょっと持って回った言い方をしたのは、妻の河野がこの世を去ってから出版されていたからだ。約10年前、夏の日、癌で河野はこの世を去っている。

最初は、出逢い、結婚、出産、子どもの成長、貧しい時や異動などがありながら、幸せな家庭での歌があり、
苦しい事も楽しい事もあるよねという共感がそこにはある。ところが、河野に乳癌が見つけると、事態は急変。歌も、動揺、辛さ、悲しみ、憤りなど短歌で「ハラハラ」する状況に陥る。さらに病気での体調不良、やせて行く、精神不安定など、胸が苦しくなる。それでも日常が大事、いや日常こそが大事と思う短歌、河野、永田の随筆には、淡々と書かれた内容が故に、読み手は感情を押さえる事ができない。そして、2人、家族は最後の最後、どんな気持ちで迎えたか。パートナーとの別れはやってくる、それでも。。。

この夏、たまには、短歌に触れる機会があってもいいんじゃないでしょうか。
短歌なんて受験のためだけだよね、高校の時以来、短歌なんて詠んでないよという方々、必読です。
この本に触れたら、短歌への気持ちかわりますぞ。

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2020年07月05日

パートナーの想いとして『漱石先生がやって来た』半藤一利(ちくま文庫)

夏目漱石のパートナーとして、鏡子という妻がいますが、もう1人、人生の方向性をパートナーとして見ていた「登場人物」がいます。「猫」です。『吾輩は猫である』はご存知の通り、夏目漱石の代表作で、勤める大学教授の職で心を傷めて時に、書くように進められたのが『吾輩は猫である』です。最初に書き始め、2回、3回と書くようになって漱石も面白く「させた」、そして、人気を博した、漱石を救ったパートナーなのです。その猫の視点から漱石、家族、周りの知人の動きを描いた1つの作成が『漱石先生がやって来た』。夏目漱石の親戚である半藤一利さんの裏付けある内容と面白みのある文書で綴っており、数年前に親友子規を失い、自分の才能に不安をもち、世情では日露戦争を取り巻く環境がありながらも猫やお手伝いのおさんなど家族の目から通し、漱石の不安、理不尽さ、それに立ち向かう応援したくなるような奮闘ぶりが描かれています。
自分も含み、誰でも起きるであろう問題で、漱石でも悩んだ、漱石だから悩んだ話を見て、猫同様、漱石を応援したくなる気持ちになる1冊。猫好きは必読?かもしれません。

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