その短歌をぐっと日常に引き戻した、いや日常にこそ、短歌があると思わせる本がある。これが『たとえば君 四十年の恋歌』(文春文庫)である。この本は、河野裕子、永田和宏の夫婦の共著になっている。と「なっている」というちょっと持って回った言い方をしたのは、妻の河野がこの世を去ってから出版されていたからだ。約10年前、夏の日、癌で河野はこの世を去っている。
最初は、出逢い、結婚、出産、子どもの成長、貧しい時や異動などがありながら、幸せな家庭での歌があり、
苦しい事も楽しい事もあるよねという共感がそこにはある。ところが、河野に乳癌が見つけると、事態は急変。歌も、動揺、辛さ、悲しみ、憤りなど短歌で「ハラハラ」する状況に陥る。さらに病気での体調不良、やせて行く、精神不安定など、胸が苦しくなる。それでも日常が大事、いや日常こそが大事と思う短歌、河野、永田の随筆には、淡々と書かれた内容が故に、読み手は感情を押さえる事ができない。そして、2人、家族は最後の最後、どんな気持ちで迎えたか。パートナーとの別れはやってくる、それでも。。。
この夏、たまには、短歌に触れる機会があってもいいんじゃないでしょうか。
短歌なんて受験のためだけだよね、高校の時以来、短歌なんて詠んでないよという方々、必読です。
この本に触れたら、短歌への気持ちかわりますぞ。
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