2020年06月26日

2人の世界に入り込む『檀』沢木耕太郎(新潮文庫)

檀一雄の代表作『火宅の人』。
最期は肺がんと闘病している最中に口述筆記で完成させた作品。今この作品を発表したら、ベストセラーどころかいわゆる「炎上」となってしまう事間違いない話でしょう。ただ、気になったのが、檀ふみさんの『父の縁側、私の書斎』ではお父さんへの思い出、愛情しかないのだ。「事を起こして」家庭内は大変だったのに違いない。特に気になったのが、パートナーであるヨソ子夫人。一体どんな気持ちだったのか。その1冊として触れたのが、『檀』(沢木耕太郎)。この話、解説の長部氏でも書かれているが、確かに「不思議」な本です。しかし、最後はこの方法で書かないで、どの方法で書くのか、と思える本である。ヨソ子夫人の一人称でいいのだろうか、淡々と語る、しかし、内容はえぐるような話もあり、はっと寒くなるような話もあり、それでも最後はと何度も何度もラストを読み返す、余韻に包まれる。確かに「不倫」は家庭崩壊させる(よくさせることはないでしょう)、それは間違いないのですが、ヨソ子夫人と檀一雄が静かに散歩していて、檀一雄の問いにヨソ子夫人がポツリポツリと答えてくと思えるこの光景。自分が真横にいたのかと思える内容。沢木耕太郎さんの『流星ひとつ』もそうですが、沢木耕太郎さんのノンフィクションの世界にどっぷり浸かれる1冊です。

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posted by あた at 23:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の紹介