2020年06月13日

献身的な友情を『太宰と安吾』檀一雄(角川ソフィア文庫)

坂口安吾の友人の1人、檀一雄。
坂口安吾には非常に、いやちょっとビックリするぐらい優しい、優しすぎるのだ。娘の檀ふみが『父の縁側、私の書斎』で坂口安吾をかくまう様子を綴っている。
薬のせいで混乱の最中だから、色々な問題が起こる。それでも、檀一雄は坂口安吾に献身的なのだ。坂口安吾の有名なゴミ部屋の写真、この写真は檀一雄の自宅の二階。そんな状況でも檀一雄は、一連の安吾の行動を許すのは、献身的といわず、何といえばいいのだろう。
さらに、安吾が亡くなった時に、檀一雄は『太宰と安吾』では、亡くなる直前の混乱、落胆、悲痛な様子が書かれている。太宰にも献身的で、安吾にも献身的。便覧などでは、檀一雄を『火宅の人』しか紹介されない。その本しか知らないと檀一雄の一面しか分からない。むしろ、その本だけでは、今は許されにくい倫理観であろう。檀ふみの『父の縁側、私の書斎』や彼らの交友、そして、沢木耕太郎の『檀』に触れる事によって、檀一雄の献身的な優しさ、優しさ故の行動(世間的なちょっと、、、と思う事もあるが)に理解を深める事ができる。人間は多層な面をもつ、それを一面だけで見る事のもったいなさを教えてくれた作家である。

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参考にした文献の「新潮日本文学アルバム」は古書店で手に入れました。

posted by あた at 23:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の紹介